Running night 00M 17S

記録と記憶
「私は記録、正確なのだ。」
ペットボトルはクリスタルグラスの様なカットを輝かせながら言った。
茶色い液体はぐるぐる回りながら「正確なのです」と訴えた。
まわしているサラリーマンは満足げ。
目の前に座ったOLはメールに「正解正解正解正解正解」と打ちつずける。
彼女は、全てが折り重なり花の周りに吸い込まれて行く。
地下鉄の壁は暗闇のふりをしながら歌う。
「白痴は記録を残しましょう、記憶は記録 ki-rock kirock
 記憶は記録で十分ですki-rock kirock」
記録に記憶が追い越されて行く。
記憶の寿命は?
記録の寿命は?
しかし、地下鉄もまた夜だった。